戦争は最大の人権侵害 
                        

 毎年八月十五日の終戦記念日になると、国や全国各地において、慰
霊祭や、いろいろの行事がなされているのである。宗門に於いても、千
鳥ヶ淵墓苑で戦没者追善並びに世界平和祈願法要が営まれる。
 私たちは過去の戦争に対して、深い反省に立ち、いかなる戦争にも反
対しなければならない。
 二十世紀は戦争の世紀とも言われている。日露戦争に始まり、第一次
第二次世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争、中東戦争、湾岸戦争など、
数多くの戦争があった。戦争だけではない。異なった民族や宗教が原因
の紛争も数多く、世界各地で起こっている。
 そして召集された兵士だけでなく、子どもや老人、女性など数多くの国
民が、自らの意思とは関係なく、戦闘に巻き込まれ、無惨に殺されたの
である。犠牲者の数は、世界全体で数千万人にのぼると推定されている。

 二十世紀の百年のうち、一年として戦争や紛争がなかった年はない。
両大戦の反省が生かされたことは、なかったのではないか。とくに今回、
米国へのテロは多くの人々が犠牲になった。仏さまの教えの中に、人を
傷つけたり、殺してはいけないと、戒められている。特に人を殺すことは、
もっとも重い罪である。わたしたち仏の教えを信仰する者は、「但行礼拝
(たんぎょうらいはい)」の精神で、相手を拝み合う心でなければならない。
お互いの命を尊びあうことこそ、人権尊重そのものである。人権の定義は
いくつもあるが、「生きる」ことを前提としており、「生きる」権利を奪う戦争
が大きな人権侵害であることは言うまでもない。
 二十一世紀を再び戦争の時代としてはならない。
 そのためにも、私たち一人ひとりが、過去の戦争を反省し、戦争を憎むと
ともに、様々な争いを平和的に解決する手段を身につける必要がある。
 「戦争は最大の人権侵害である」と心に刻み「平和」を求めていくことこそ
人権を守ることになる。

                           シリーズ26(H13.10.20号)より